不整脈とは
脈が速くなる、遅くなる、飛ぶことなどを総じて不整脈と呼びます。
緊張した時、運動した時などはどなたでも脈が速くなるものです。こうしたものは生理的現象ですので、一概に病気が原因となるものではありません。また、30歳を超えると健康な方でも脈が飛ぶことはよくあります。
しかし、不整脈の中には病的なものもあります。例えば、明確な原因がないのに脈拍が1分間に120回を超える、めまい、動悸、息苦しさなども起こるという際には専門医に相談するようにしましょう。
不整脈の種類
期外収縮
脈拍は通常規則的ですが、不規則に「飛ぶ」状態を期外収縮といいます。
脈拍が飛んだ後は強い拍動が起こり、ドキドキするような感覚を覚えます。
健康な方でも30歳を超えると起こりやすくなります。
徐脈性不整脈(徐脈)
シンプルに徐脈とも呼ばれ、正常値よりも脈拍が非常に少ない状態です(1分間に50回以下)。
突然死、失神などを引き起こすこともありますので注意が必要です。
なお、スポーツ選手などは、健康に問題がなくてもスポーツ中に迷走神経が高ぶって脈拍が少なくなることがありますので、大きな心配は無用です。
頻脈性不整脈(頻脈)
シンプルに頻脈とも呼ばれ、正常値よりも脈拍が非常に多い状態です(1分間に100回超)。
突然死、失神、脳梗塞などを引き起こすこともありますので注意が必要です。
なお、緊張した時、運動した時は健康な人でも脈拍が多くなるものですので、大きな心配は無用です。
不整脈の原因・症状
不整脈の症状としては次のようなものがあります。
よくある症状
- めまい
- 動悸
- 息苦しさ、息切れ など
重症な症状
- 突然死
- 失神
種類別症状
期外収縮の場合
自覚症状はほとんどありません。なお、息苦しさ、胸の圧迫感、胸痛などが起こることがあります。また、脈が飛ぶ感覚に不快感を覚え、精神的負担になる方もいます。
徐脈性不整脈の場合
全身に届く血液の量が少なくなることで、めまいや息切れ、失神などの症状が起こります。
頻脈性不整脈の場合
鼓動が速くなることに不快感を覚えたり、動悸が起こったりすることがあります。また、心臓のポンプ機能が過剰に働くことで、冷や汗、吐き気、意識喪失などの症状が起こることがあります。
原因
心筋症、心筋梗塞、狭心症などの疾患、自律神経や甲状腺ホルモンの異常などによって引き起こされることがあります。また、服用しているお薬の副作用によって起こることもあります。
その他、飲酒、喫煙、生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群、ストレスなどの要因が複合することでも起こることもあります。
なお、中には明確な原因が分からないケースもあり、先天的もしくは後天的に生じる異常な電気信号によるものではないかと推測されます。
不整脈が引き起こす病気
不整脈の合併症としては次のようなものがあります。
心不全
心臓のポンプ機能がうまく働かないことで、全身に酸素や栄養が運搬できなくなります。最悪の場合は重篤な状態に陥る恐れもあります。
脳梗塞
不整脈の一種である心房細動によって脳梗塞を発症する恐れがあります。脳梗塞を発症すると、脳の動脈が閉塞し、脳が壊死するリスクがあります。
また、皆様もご存じのように脳梗塞は重篤な疾患です。仮に命に別状はなくても、数年以内に再発したり、後遺症が残ったりする恐れがあります。
不整脈の検査
不整脈の疑いがある方には次のような検査・診断を行います。
心電図検査
心臓の電気信号をキャッチして、波形画像を記録します。なお、検査の際に不整脈を確認することは困難であり、24時間ホルター心電図検査も実施することが一般的です。
24時間ホルター心電図検査
小さな装置を装着して頂き、ご自宅で24時間連続の心電図波形を記録するものです。不整脈が起こるタイミング、不整脈の種類を詳しく確認することが可能です。
超音波検査(心エコー検査)
超音波を当てることにより、心臓の収縮、大きさ、筋肉の動き・厚さ、弁の動きを確認します。
自宅で不整脈セルフチェック
症状から確認する方法
- 頻繁にめまいが起こる
- 目の前が暗くなり失神する
- 安静時でも拍動を感じる
- 軽めの運動時や安静時でも疲れやすい、息切れ、だるさを感じる
脈拍から確認する方法
Step1
手のひらを上の方に向けます。
Step2
手の指先を少し上に向けた時にできる手首のシワに、薬指・中指・人差し指の先を付けます。
Step3
1分間の脈拍を時計で確認しながら正確に測ります。
Step4
1分間の脈拍が100回超、50回以下、脈が飛ぶ・乱れるといった際には、不整脈の疑いがあります。
不整脈の治療法
薬物療法や生活習慣の改善を行います。
なお、ペースメーカー治療やカテーテルアブレーション治療を要する患者様は提携先の高度医療機関へお繋ぎします。
薬物療法
抗不整脈のお薬を服用して頂きます。
また、心房細動の診断を受けた患者様は、脳梗塞の発症を防ぐために抗凝固薬の服用も必要です。
カテーテルアブレーション治療
脚の付け根などの血管にカテーテルを挿入し、3Dマッピングシステムやレントゲン装置で確認しながら心臓まで届かせることで、不整脈を引き起こす異常な部位や回路を焼いて治療します。
ペースメーカー治療
徐脈の方には心臓ペースメーカーを装着する治療を実施します。決まった周期で電気信号を送ることで拍動が正常化するように導きます。