健康診断
健康診断では、自覚症状が乏しい疾患の早期発見・早期治療のために、厳しい基準を設けて異常を判断することがあります。異常が見つかって詳しい検査を受けても疾患は見つからなかったということもありますが、進行することで発作や重篤な症状が起こる疾患の早期発見に繋がる場合もあります。また、グレーゾーンの数値があれば、生活習慣を正すことで疾患の発症を防ぐことに繋がります。さらに、健診の結果を数年分比較することで、将来的な目線で健康状態を維持することも期待できます。
健診の結果の見方が分からず、とりあえず書いてあることを読んだだけで済ませている方もいらっしゃると思います。
当院では、健診で異常や要精密検査となった方に向けて、再検査や精密検査を行うことが可能です。また、些細なことでも構いませんので、診断結果についてのご相談も承っております。(再検査の際にお食事の制限が必要な場合もあるため、当日すぐに検査ができない場合もございます。)
健診の結果は人それぞれ違うため、結果用紙に書いてあることにも違いがあります。受診された方の年齢、既往歴、体型によっても個人差があります。また、健診当日の体調、前日の運動・食事・睡眠などの状態が結果に影響することもあります。健診の結果を疾患の早期発見や健康状態の維持に役立てるために、ご自身の異常の内容、必要な対応、経過観察で見るべきポイントなどを理解することが必要です。当院では、健診の結果を丁寧に説明し、必要なサポートを行います。
健康診断で異常を指摘されることが多い項目
HbA1c、血糖値(糖尿病)
血中のブドウ糖濃度を血糖値と言います。高血糖な状態が慢性化する糖尿病によって動脈硬化の進行を招き、毛細血管に大きなダメージが及ぶと、様々な深刻な合併症を発症するリスクがあります。運動や食事に血糖値は左右されますが、HbA1cは直近1〜2ヶ月間の血糖値の平均を示すものです。健診では、HbA1c値5.6%から要注意状態となり、少し厳しめの基準で指摘します。発症間もない糖尿病や糖尿病予備軍の方は、生活習慣を見直すことで進行を防ぐことができますので、異常が見つかったらなるべく早めに当院までご相談ください。
コレステロール値(脂質異常症)
脂質異常症によって血管の狭窄や閉塞が起こるリスクが高まります。自覚症状が乏しいまま進行して、動脈硬化の原因となり、脳卒中や心筋梗塞などの発症に繋がる恐れもあります。血中の脂質の基準値は、HDL(善玉)コレステロールが40mg/dL以上、LDL(悪玉)コレステロールが70~139mg/dL、中性脂肪は150mg/dL以下となりますので、基準値を超えている・下回っている場合は当院までご相談ください。
尿糖・尿タンパク・尿潜血
尿中のブドウ糖の量のことを尿糖と言い、糖尿病を判定する際の目安となります。
尿タンパク陽性の方は、慢性腎臓病の疑いがあります。
尿潜血陽性の方は、尿中に少量の血液が混入している状態で、尿管、尿道、腎臓、膀胱などで疾患や炎症が起こっている疑いがあります。
尿検査では大きな異常がなくても陽性判定となることもありますが、疾患が原因となっていることもありますので、なるべく早めに詳しく検査することをお勧めします。
尿酸値(高尿酸血症・痛風)
尿酸値が上昇すると、足の親指などで強烈な痛みが起こる痛風発作のリスクが高まります。治療せずに放っておくと、動脈硬化の進行、尿路結石、腎障害などのリスクも高まりますので、注意が必要です。
血圧が高い(高血圧)
落ち着いた場所で測る血圧は低めに出ることが多く、診察血圧で140/90以上・家庭血圧で135/85以上がずっと出ている場合は高血圧の診断となります。動脈硬化の進行はもちろん、脳出血の発症を招くリスクが非常に高い状態です。
肝機能異常
γGTP、ALP、AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンが異常値となっている場合、肝機能に異常が起こっている疑いがあります。
貧血
鉄分不足の女性でよく見られますが、体内の消化管などで生じた出血が原因となっていることもあります。出血が原因となる貧血は男性でも注意が必要です。消化管で出血が起こると、穿孔が起こるリスクもありますので、原因特定のために速やかに当院までご相談ください。